今月末に引っ越しです。
慣れ親しんだ街とさよならするのは寂しいもんです。
せっかくのさよならなので、「さよならするってことが決まったからこそ、やってみたいこと」をリストアップしております。
その中に、
「絶対に行かない・入らないお店に行く・入る」
というリストがあります。
先日、行ってきました。
駅前の理髪店に・・・。
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そこにはプロがいた。
ちょっと切ってもらうだけでいいのです。
なので、その辺にある『1000円カット』でもじゅーぶんです。(近所のソコは1,350円)
お家に帰ってアタマを洗えばいいのですから。
しかし。
俺は行くよ、駅前にあるあの理髪店に。
戦前からやっているような、今で5代目だとしてもおかしくないような・・・。
やる気のない、ヨボヨボの店主が出てきて、髪の毛をむしり取られ、顔は傷だらけにされ、ああどうしよう。
なんて失礼すぎる杞憂を楽しみつつ。
「よいしょ」
とドアを開けると、お店の方が俺を見て、
「おや?」
という顔をしました。
俺がお客であることを理解すると。。。
「はいはい。すぐできますよ。おかけになってお待ち・・・。」
と声をかけてくれました。
俺よりも先に、年配のお客がチョキチョキされていて、
「あん摩(いわゆる肩揉み)はやらないでくれ。ペースメーカーを入れてるもんでね。」
と、スタッフさんに言ってました。
黒い革製のバーバーチェアはガムテープだらけで、鏡の下には細かな髪の毛がたくさん散ってました。
いささか不安になりつつ、良き思い出になればいいやと自らを励ましつつ、
「えーっと。こーして。あーして。ええ。はい。そんな感じです。」
とお願いをして、いざ本番。
明らかにタバコの匂いがするその指で、めっちゃんこ切れ味の良いハサミでちょきちょき。
さささー。さささーと、チョキチョキ。
ハサミが髪の毛にひっかかる、なんてことは全くなく、さささー。さささー。
まさに『the 調髪!!』といったヘアスタイルが完成しました。
前かがみになって、まるでシバ犬を洗うかのようにシャンプーとリンス。
そして、お待ちかねの顔剃り。
「どこの日本刀ですか??」
なクオリティのカミソリで、さささー。さささー。さささー。
で、おなじみの「肩マッサージ。」
これがまた、ちょうどいい感じ。
昭和の時代ならここで、
「まあ一服どうぞ。」
とマイルドセブンを1本渡されるところなのでしょう。
お会計は2,000円。
俺は感動し、反省しました。
勝手な偏見で、
「こんなトコロで髪は切らへんわー」
なんてバカにしていたことが実に恥ずかしい。
理髪店として、完璧な仕事を良心的な価格で提供してくれた。
「ごめんなさい。本当にありがとうございます。」
という気分でお店を出て、2ステップを踏みながらたい焼きを買いに行ったのでした。
新しい街で新しい暮らしが始まります。
しょーもない偏見は捨てて、新しい街でも『古き良き、新しい出会い』を楽しめますように。